移動術でコラム

移動術について私が考えたことを紹介します。

主観がかなり入ってるので、一般論とは違う意見が多いかもしれません。
また以前に書いたものもあるため、今の私の見解と違うところもあります。
注:ここでいう「移動術」はParkour、Freerunnig、Art du Deplacementの全てをさします。

【全国的なコミュニティと組織】
※2013年1月に某所で書いたものを再編。

なんとなく全国規模でトレーサーがまとまれる「何か」があったほうがいいのではないかと思っている。

それは特定の個人・団体の利益(お金に限らず)のための組織ではなく、日本のパルクールに関わる全ての人のために活動する公益組織でありトレーサーコミュニティである。もしかしたら既存の団体がそれになれるのかとも思うがパルクールでビジネスをしている団体/会社の場合、利益と公益を両立させるのは内外への説明を含めたかなりの努力が必要になるだろう。

新たに組織を作るにしても全国規模でやる以上、できるだけ多くの人を「平等」に巻き込んで賛同を得てからやるべきである。具体的な手順やスピードは目的や形によって違ってくるが、個人的にはコミュニケーションが一番重要だと思う。まず身近な人たちと話して、その輪をだんだん広げていくこと。お互いに何を考えてるのか分からないのに器だけを作ってもいいものはできない。

パルクールで個人なり団体なりで何か活動する場合、大きく分けて内向けの活動と外向けの活動が考えられる。要はトレーサーに対するものか、世間一般に対するものかである。練習会/交流会や教室などは内向けと言える。一方、メディア/イベント出演などは外向けの活動である。

これまで考えられてきた「パルクールとは」という基準は、どちらかといえば外向けの活動のためのものだったのではないか。だからパルクールを一般に説明するため、具体的なことまで基準に含めようとして、その結果、お互いの「相違点」を無くすことでその基準を広めるということが行われていたように思う。

ただ、これをやることは内部(トレーサー)に対して色々と不都合を招く。それは外向けの基準だったはずのものが内向けの基準にもなってしまうということである。その結果、妄信や迷いなどが起きて自分の考えが持てなくなったり、またお互いの「相違点」にばかり注目することに繋がる。そうすると当然、反発や確執が目に見えないにしても起こるのではないか。

なので、大規模な組織(コミュニティ)を作るなら内向けの活動とそのための基準でいいのではないか。その基準は、今あるお互いの「相違点」に注目してできるものではなく、今あるお互いの「共通点」から作られるべきである。その「共通点」を見つけるためには、時間をかけて多くの人たちと交流する中でお互いを理解するのが一番の近道である。そうやって出来た基準は抽象的で、皆が自分の考え/やり方を変える必要のない基準になるはずだ。そして皆がその「共通点」としての基準を意識し共有することで、さらにいいトレーサーコミュニティができる。

では、外向けの具体的な基準はどうするのかという話になるが、それはそれぞれの個人なり団体がそれぞれの具体的な基準でやるしかない。それぐらいパルクールは各個人で考え方が違うものになっている。明らかに間違っていない限り、それぞれの「相違点」を認め合うべきで、そのためにも「共通点」を知ってお互いを理解しておく必要がある。これが今すぐ実現できるとは思わないが、むしろ時間をかけてやった方がいいことである。広い交流と相互理解が今やるべきことだと思う。

もしかしたら内向け活動も今まで通り既存の団体がやって全国的な組織/コミュニティは「共通点」の旗印として存在しているだけでもいいのかもしれない。それによって「みんなが同じパルクールをやっているんだ」ということが意識できれば、いいトレーサーコミュニティが出来るはずだ。そうすれば、誰かがパルクールに関係して何かをしようとする時もやりやすく、よりよく出来るのではないだろうか。

こういった役割をもつ組織/コミュニティはもっと早く作られるべきだったのかもしれない。ただこうして今現在まで来ている以上、必要ならこれから作っていくしかない。今これからだからこそできる、いいものを。

(2013/01/24-31)

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